2004年インテリジェンス・ダイナミクス・シンポジウムを聞き逃した人へ おすすめ度 ★★★★☆
2004年4月9日(金)
インテリジェンス・ダイナミクス
〜脳・身体性・ロボット・知性の創発〜
と,銘打ったシンポジウムが開かれました.
一企業が,突然こんなシンポジウムを開くものだから,僕らはオドロキながらも参加しました.ソニーのブランド性故か,1000人ほどの定員が一杯になる客の入り.また,講演に現れた先生もロボットを用いた知能研究における各領域を代表する先生方でした.
ロボカップを立ち上げた阪大の浅田氏,日本の計算論的脳神経科学の第一人者川人氏,構成論的に認識論・現象学に迫る野心家,谷氏,そして,非線形制御を基礎に持つ東大の中村氏.
朝から夕方までぶっ通しというかなりハードな会だったのですが,通常の国内の学会とは質×量で一線を画する内容に,非常に満足したのを覚えています.
その講演内容を書籍にまとめたのが本書です.
古典的人工知能の研究を越えた,ロボットを用いた新しい知能研究の入門書としては「知の創成」が有名だが,それとて,メインに扱う話は80
〜90年代の話題である.それが最先端だと思ってしまったら大間違い.
しかし,その後に最新のトピックを全体的にサーベイした本が出ていない気がしていた.その意味では,本書は2000年以降で現在進行形な知能研究を取り扱っておりナカナカおもしろい存在である.
ただし,本書は元が講演ということもあり,ところどころ「話し言葉」調になっていたり,どうも校正とまとめ方に今ひとつ背骨を感じない.
僕は業界にいて既にわかってるからいいんだが,これで一般の人々にわかるのかは疑問.ブルーバックスがしばしば陥りがちな穴に落ちているような気もする.
上のような理由で「バイブル」の位置までは行かないが,特に当日参加していない人はかって損をしない内容ではあるとおもいます.
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